滋賀県高島市の針江地区には水を大切にする文化が息づいてきました。中でも家々に在るカバタは、琵琶湖畔の集落に受け継がれてきた独自の湧水文化です。
カバタの中央には水の湧き出る円形の水壺があり、その水は飲用水としてつかわれます、水壺の縁はカバタの水面からは少し高くなっていて、あふれた水は周りへと流れ、炊事のあと片付けや洗濯用に使われます、カバタでは鯉が飼われていて、洗い物などの残りを綺麗に掃除してくれます。
カバタは単なる生活用水ではなく、人々の暮らしと深く結びつき、自然との共生、持続可能な社会を実現するための知恵として発展してきました
田中三五郎さんは針江に住んでいた漁師です。世話好きで、議員を勤めてこともあり、針江のことは彼に聞けばなんでも分かるというほど周囲の人達からも頼りにされていました。彼は古くから伝わる漁法を用いて琵琶湖で漁をし、自宅周りの田や畑では生活に必要な作物を育てていました。そして世間の変化にも関わらず、伝統的な琵琶湖の生活を守り続けてきました。
ふとしたことから田中三五郎さんの生活は多くのメディアで紹介され、その素朴な暮らしぶりと、自然に対する深い愛情は、多くの人々に感動を与えました。
彼の住んでいた家は針江の伝統的な民家でした。主が去りしばらくは不在となってしまった家ですが、この度、そのまま保存しミュージアムとして公開することになりました。
針江の北の端に位置する家を囲むように田んぼが広がり、庭のむこうには納屋に挟まれて小さな畑があります。玄関を開けて中に入ると、まるで時間が止まったかのような雰囲気が漂っています。カバタに湧き出す水に触れ、家の中の小さな自然を感じることができます。
博物館などでよく見かける当時の生活を再現した展示物を見るのではなく、実際にその時代の家に訪れる訪問者として体験し、その空気感を感じとり、彼の遺産と哲学を体感してもらえればと願っています。
- 田中三五郎さんのことや針江の水の文化については、多くのメディアで描かれました。下のリンクはナショナルジオグラフィーの番組で紹介されたものです
Japan's Secret Water garden - David Attenborough | National Geographic Documentary 2023 -
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